酷暑のドローン散布、バッテリー管理は大丈夫?
年々気温が上昇し、地域によっては40℃にも達する酷暑の夏。7月〜8月にかけて農薬や肥料を散布する農業従事者の皆様にとっては、非常に過酷な作業環境です。さらに、農薬散布時は人体を保護するために防護服を着用した作業となり、さらに体温が上がりやすい状況での作業を強いられます。
ご自身の体調管理はもちろんですが、農薬散布ドローンの動力源である「バッテリー」も、この厳しい暑さで大きな影響を受けます。
今回は、夏のバッテリー管理における重要な注意点をご紹介します。
■XAG社製バッテリーの主な機能
XAG社専用『スマートバッテリー』は、リチウムポリマー(LiPo)バッテリーです。
- 放熱設計: バッテリーの上部や側面に設けられた通気口が、使用中や充電中の熱を効率的に逃がします。
- 状態の可視化: 機体に接続して電源を入れると、専用アプリ上でバッテリーの残量・温度・電圧・電流をリアルタイムで監視できます。
- 残量確認: バッテリー本体のボタンを押せば、ランプの点灯数で手軽に残量を確認することも可能です。
■ドローンバッテリーの適正温度
動作環境温度は**約10℃〜45℃です。しかし、夏の日中に機体を屋外に長く置くと、直射日光の影響でバッテリー温度はあっという間に45℃近くまで上昇してしまいます。
■バッテリーが高温になるとどうなる?
安全性を最優先に設計されています。例えば、バッテリー温度が高い場合、機体は飛行を開始しません。 たとえ午前中の涼しい時間帯でも、連続使用や直射日光による温度上昇には十分な注意が必要です。
■高温がもたらすリスクとコストへの影響
- 危険性::動作環境温度(45℃)を超える環境での使用は、バッテリーに重大な損傷を与え、膨張や発火、最悪の場合は爆発に至る危険性があります。
- コスト増:バッテリーが故障すれば、肝心な散布時期にドローンが使えなくなるだけでなく、買い替えによるコスト増にも直結します。高温下での不適切な使用や保管は、バッテリーの寿命を著しく縮める最大の要因です。
■【実践】バッテリーが高温になった時の対処法
1. 基本は「冷ます」こと
『スマートバッテリー』は、本体が高温の状態では飛行も充電も開始しない安全設計になっています。作業前は機体やバッテリーを日陰に置く、充電後は、直射日光を避ける工夫がダメージ軽減に繋がります。充電も必ず日陰や風通しの良い場所で行ってください。
2. 専用の冷却装置を活用する
XAG社のバッテリーは、防水性能が高く、バッテリーを水に付け冷やす冷却システムを用意しています。
水冷装置を使用することで、作業後、高温になったバッテリーをスムーズに充電でき、且つ適正温度まで下げ、すぐに散布作業を行えます。
- 『水槽(水冷装置)』+発電機(GC4000+)


- 『ミスト冷却装置』+発電機(GC4000+)
こちらはP60の販売と同じタイミングで販売開始したミスト冷却装置
「冷ます」目的は従来の水冷装置と同じですが、水の利用方法が異なります。従来は水につけ放熱を行う方法でしたが、
ミスト冷却装置は水をミスト化し、プラス風をバッテリーに送り、ミストが蒸発することで周辺を冷ます気化熱の仕組みを利用しています。
使用する水も従来の物に比べ減ります。水が温かくなっても、ミスト化されることで、安定した冷却効果を実現します。
■バッテリーを長持ちさせる保管方法
1. 車内に放置しない
散布後、バッテリーを車内に放置するのは絶対に避けてください。車内温度は急激に上昇し、バッテリーに深刻なダメージを与えます。作業後の移動中も、到着後は速やかにバッテリーを車から降ろし、涼しい場所へ移しましょう。
2. 最適な環境で保管する
バッテリーの保管に適した環境温度は約10℃〜30℃(推奨は22℃〜30℃)です。乾燥した風通しの良い場所を選び、高温多湿や直射日光は避けて保管してください。こうした一手間が、バッテリーの寿命を延ばすことに繋がります。
■まとめ
今回は、夏のドローン散布におけるバッテリーの注意点をご紹介しました。 この暑さは、作業者ご自身の身体にも大きな負担となります。
十分な水分補給を行い作業を行いましょう。ご自身の体調管理万全を期すと同時に、ドローンの心臓部であるバッテリーにも無理をさせない運用を心がけ、この夏を安全に乗り切りましょう。
